コーヒーセレモニー

農園見学が始まった初日。
オフロードで農園に登る。

標高2000mは日常で経験したことのない高さ。
登っていくとき、想像していたエチオピアはあまり見られなかった。
ゆっくり歩いたり、立って手を振ってくれたりする子供たち、住民たち…
一日が始まったのに、彼らは何もしないのだろうか。それとも特に何もしなくてもいいのだろうか。
彼らを見て…私はあまりにも多くのことを気にしながら、追われるように生きてきたことに気がついた。流れに巻き込まれてきたのだろうか。

村を離れると高い木が並んでいた。涼しい風。緑の丘を越える。
木が高い。背の高い彼らに似ている。
車の中で、後藤さんと二人のロースターとのコーヒー談義を子守唄にして居眠りした。5時間以上かかるオフロードドライブ。
本物を手に入れるには遠くまで行かなければならない。
誰も暮らしていないような道だが、家と人が次々と出てくる。
野村さんはすぐ寝てしまった。 もうすぐ農園だ。

呼吸の中にエチオピアが。
コーヒーノキの下の土を触って、匂いを嗅いだ。これがエチオピアなんだ…。
コーヒーと一緒に乾かしているインジェラを見ながら、彼らの日常を感じた。やはりハイライトは食事よりコーヒーセレモニー。
深く煮込んだ熱いコーヒーの香りが喉の渇きと暑さを一気に吹き飛ばす。
続いて再び6時間以上かかるドライブ。
スコールというには少し長い雨が、涼しい風を運んでくる。これがエチオピアの風なのか。目を閉じてできるだけ感じてみる。

どんな質問に対する回答からも、明確な哲学を持って生豆を生産していることが伝わってきた。3代目まで続いてきたモプラコのプライドだろうか。
世界初のナチュラルウォッシングとは。私はフリーウォッシュドが大好きだが、人間のアイデアと試みは驚くものだった。


モプラコの生豆は使ってきたけれど、実際にようやく出会った真夜中のモプラコ農園。
凄く歓迎してくれた。彼らと混ざり合って焚き火の前で踊る。
彼らの魂が私の胸をときめかせた。
その場で燃やした炭でつくったコーヒーとエチオピアワインが絶妙にペアリングしている。

今日泊まるワイルドなゲストハウスが明日、農園での朝を感じさせてくれるだろう。
標高2,000mで迎える日の出。