La Colina農園へ

香りというのはじつに人間の本能を刺激するもので。 皆さんが大好きなコーヒーにも忘れられない思い出に残る香りなどあったりしませんか? コーヒーに限らず香りや匂いで昔の思い出が蘇ったりすることがあります。

ピックアップの荷台で山道に揺られながらアントニオさんの農園を目指していたら、不意にパティオで乾燥させているコーヒーの香りがしてきた。この香りは僕にとってのそれになりました。

瞬間的にそれとわかる香りで、カーブを曲がって農園が視界に入ったときのコーヒー生産の現場に来た!感はとても感動的でした。

収穫は末期を迎えていましたが、すこしだけチェリーピッキングを体験させていただきました。足場も悪く、いい頃合いの果実だけを収穫するのはたいへんな重労働です。

彼らの環境やクオリティに対する拘りはたいへんなものです。PRIMAVERAのナディーンさんに収穫後の木について説明を受けていたところ、彼女は見落とされて木についていた一粒のチェリーを発見します。僕の感覚ではそのままにしておくか、そのへんにポイっとすればよいのではと思ったのですが、ナディーンさんは丁寧に木から外してポケットに入れるのです。腐敗して土壌を汚染したり意図せぬ害虫がくるのを防ぐためだそうです。細やかな気遣いの連続がコーヒーの品質を上げるのですが僕の予想を遥かに上回る丁寧なお仕事ぶりでした。

お昼には奥さんの手作りスープをご馳走になりました。うまかったなー、グアテマラのお袋の味。ちなみに中南米のフルーツやアボカドはとても美味しいです。旅の仲間とも何度も話題にあがりました。熟度がちがうのかなとか。

帰りはまたまたこんな道をガタガタと。途中でアントニオさんが車を停めて息子さんに何やら指示します。道の脇のコーヒーノキの状態の悪い葉をむしりに行く息子さん。手間を惜しまない仕事ぶり、コーヒーを愛している姿勢は尊敬に値します。

次の日にアントニオさんのコーヒーをカップして購入させていただくことにしました。初めて訪れたスペシャルティコーヒー農園ということもあって日本の店に届くのを楽しみにしています。来年もその次の年も継続して扱わせていただこうと考えています。