夢の

朝、グアテマラシティ中に響き渡る鳥の声で目が覚めた。
グアテマラシティは山に囲まれているからか自然の音が良く耳に入ってくる。
朝食にたっぷりのフルーツを食べて、元気もりもり。

ホテルのエントランスを抜けるとグアテマラのエクスポーターPrimaveraのクリスが
我々を出迎えてくれた。Primaveraからは昨年からコーヒー豆を購入している。
去年BERTHのコーヒーを飲んでくれた人ならば
「アンジェリーナメンデス」や「ベニートラモス」などの
生産者の名前を聞けば私たちが良くお勧めしていた姿が思い浮かぶだろう。
去年五本指に入るほどどちらも好きなコーヒー豆。

Primaveraのナディーンと父のクリス。
今日はクリスがドライミルや農園を案内してくれる。

さっそく大型のバスに乗り込み、Primaveraのドライミルヘ向かう。
バスの中でPrimaveraのカフェで扱っているコーヒーを振舞ってくれた。
グアテマラに来て初めての美味しいコーヒー。
生産地だからと言ってどこでも美味しいコーヒーが飲めると思っていたのですが
そんなことはなく、ホテルやカフェのコーヒーはまずまず。日本もおんなじですよね。

ドライミルとはコーヒーが乾燥された状態で運ばれてくる倉庫(にある大きい機械?)のことを指し、
ここでパーチメントを剝がしたり、選別を行ったりする。
生産者の人たちは自分で収穫したコーヒー豆をもってきてこのドライミルで
生豆として出荷できるように加工してもらう。
グアテマラシティから車に揺られ1時間ほど。
シティを外れ、郊外に出ると一気に高層ビルが減り、
グアテマラ現地の人が住んでいるレンガ作りのようなカラフルな住宅が見えてくる。
どんどん自然の中へ入っていき、山のふもとにあるドライミルにたどり着いた。


バスから降りて外に出ると花が空を舞い、これでもかというほど空が晴れわたっている。
ずっと外にいたいが機械はもちろん庫内に・・・
中に入ると巨大な機械があり、圧巻。

これでも機械の一部。象10匹分くらいの大きさ。騒音もすごい。

値段は聞いていないが小規模生産者が買えるような機械ではないことは一目でわかる・・・
この光景を見て自分たちが行っている「シェアロースト」が思い浮かんだ。


焙煎機を貸し出し誰でも焙煎ができる世界を目指して私たちはシェアローストサービスを行っている。
スモールロースターがBERTHのロースタリーに集まり、
時に焙煎のアドバイスをしたりディスカッションを繰り広げる。
Primaveraが小規模生産者に向けて生産や精製のアドバイスをしていることは
きっともっとおいしいコーヒーを広めたい、生産者と一緒に仕事を成長させていきたい。


そんな思いを汲み取ることができた。

このマシンを動かし、パーチメントが付いた状態のコーヒー豆を投入すると
パーチメントは剥がれ、サイズ別に分類され、
最後に豆の色が黒や茶色などの欠点豆は色彩選別によってはじかれる。
ようやく最後に残るのが私たちの知っている焙煎できる生豆だ。

パーチメント付き生豆がドライミルに投入されている様子

ブルボン種やパカマラ種などさまざまな品種の豆が集まるので、品種が変わるごとに
ミルの設定を変更し、混ざらないようにきれいに掃除している。
そのためマイクロロットは時間も労力もかかっている。

私が一番驚いたのはゴミがほとんど出ていないという点。
途中ではじかれた欠けた豆や小さい豆はローカルのマーケットに売られる。
パーチメントも燃やすための燃料として販売されるようだ。

パーチメントは隣の建物に筒を通って移動している。
ドライミルの中にはたくさんの麻袋が。
生産者はナンバーによって分類される。SACOSは袋の数を表す。

このドライミルは100%太陽光や風力発電で電力をまかなえている。
グアテマラ自体は65%が自然発電でまかなえていて、エルサルバドルなどに電力を販売しているらしい。

このコンテナは全部VERVE COFFEEに運ばれる
赤いシールが貼られている麻袋は中をチェックするために穴を開けなくてもいい

ドライミルで麻袋に詰められた生豆は真空加工こそされてはいないがしっかりと口を閉めて密閉しているので12ヵ月はおいしく飲める。
クリスはフレッシュな状態が一番おいしいといっている。

このドライミルでは1日にコンテナ1個分(69㎏の麻袋が300袋分)の精製がマックスのキャパシティ。
そしてこの写真のコンテナは全部カリフォルニアを中心に展開しているVERVE COFFEEにすべて運ばれるそう。
初めは10袋から取引が始まったVERVEだが、10年たった今ではコンテナ単位で購入しているよう。
ダイレクトトレードを目指す私たちとしては、その目標が夢だけの話ではないことが静かに確信できた。
そしてクリスやナディーンもそうやってコーヒー屋さんが月日が経つにつれて
取引の量が増えていくのを見守れることがこのビジネスの一つの楽しみだと話してくれた。

私たちも取引量が増え、Primaveraを喜ばせられるよう頑張りたい。