知らないこと、知っていくこと

「自然であること、環境にやさしいこと。ナチュラルの語源はそこから来ている。」
ロースターとして恥ずかしいことにグアテマラに来て初めてナチュラルの語源を知った。
フレディはナチュラル製法しか行わないグアテマラの生産者の一人だ。
彼は水資源を使わずに環境を汚さず精製できるナチュラルが一番いいと考えている。
環境にいいからその選択肢をする。そういう思考の持ち主がグアテマラには多いと初日にして感じた。
知らないことがまだまだある。それを引け目に感じるのではなくそのことを大切に
一つ一つ自分の目で見て知っていきたい。


初日Primaveraドライミルを見た私たちは標高1000~1300mの大規模生産者の農園へ向かった。
道の両端にはコーヒーノキがびっしりと並んでいる。

大規模生産者の農園を歩くクリスとロースター、広すぎ

バナナの木は成長過程でコーヒーの木に必要な栄養を吸い取らずに成長していくため
シェードツリーとして植えるには最適なよう。また大地に水分ももたらし
生産者の食卓に並んだり収入源にもなる。

黄緑色のベイビーバナナツリー。ここから一か月で大人バナナツリーになる
成長が早いこともシェードツリーとして大切な要因。

年に三日しか咲かないコーヒーフラワー
シトラスとジャスミンが合わさったような爽やかないい香り

乾期が長く水が足りていないことから今年から実験的に地面にホースを張り巡らせて
そこから水を与えていると生産者の人が話してくれた。

ここは私が想像していた急斜面にコーヒーの木が生えているような場所ではなく
開かれた場所で緩やかな斜面に沿って規則的に生えている。
大規模農園は機械を使用してがーーっと収穫するような
ものをイメージしていたがここでは機械を使用せず、
ピッカーさんを雇って人がチェリーを収穫している。
これだけ広いと収穫時期には400人ほどのピッカーさんが必要になるそう。
ただ、重労働で、そこまで賃金の高くない仕事になるため
ここの農園の課題はピッカーさん不足とお話ししていた。

ピッカー不足になると適切な収穫時期にチェリーが摘めず
せっかくのコーヒーチェリーが適切な収穫時期を過ぎてしまう。

ナディーンが用意してくれたサンドイッチを食べながらみんなで食卓を囲む

農園をずっと歩いて突き当りにウェットミルがある。
ゲストハウスのようなかわいらしい小屋でランチをいただきながら
生産者の方々とお話しすることができた。

ここの生産者の人たちが作っているのはPrimaveraでも扱っていない
少しランクの低いコーヒーだ。だけども生産者はコーヒーに向き合い
少しでも美味しいものをたくさん作ろうとしている。
大手飲料メーカーの缶コーヒーやインスタントコーヒーなどに
使用されるコーヒー豆のニーズもある。

私はスペシャルティというごく一部のランクの豆だけを買って
焼いて、販売して、コーヒーチェーンの一部になれていると感じていたが
それはほんのひとつまみの市場だった。

標高が低かったり、コーヒーを生産するのに恵まれていない環境のなかでも
頑張っている生産者がいる。
情熱を持っている生産者がいる。

自分たちが実際にお店で提供しないコーヒーだとしても
全ての生産者にリスペクトを払って過ごさなければならない。