OBROSに起こった思いがけない出逢い
OBROS COFFEE は2016年5月にスタートした、福島で生まれ育った兄弟ふたりで立ち上げたお店です。
名前は、苗字のOginoと兄弟のBrothersを組み合わせた造語です。
創業時からの想いは「スペシャルティコーヒーの素晴らしい味覚体験を提案すること」です。
ブレンドはせずシングルオリジンのみで、風味特性を生かした浅い焙煎のみでコーヒーを提供するお店は、周りを見渡してもありませんでしたが、僕たちにとってはそれが最も魅力的なあるべき姿でした。
数年経った頃から弟が焙煎を行うことで、提供したい味はより明確になって、良質な生豆の中からクリーンカップが優れたオリジンを選定するようになりました。
現在OBROS COFFEEは7年目を迎え、近隣の方、県内の方に僕たちの想いを知っていただく機会が増えたように思います。
ただ今後長期的にコーヒービジネスを運営していくこと、品質の良いスペシャルティコーヒーを届け続けるにあたっての壁や、理想とは程遠い現実に向き合うことがあります。
品質の良いコーヒー生豆の調達、コーヒーに関する知識不足、やりたいこととビジネスの両立です。
今まで僕たちは、幸いなことに信頼できるインポーターと関わることができ、生豆の調達に不自由を感じたことはほとんどありません。
そしてTYPICAさんと関わることができ、ロースターとして更に成長することが出来ました。
今まで出来なかったことが出来るようになり、驚くほど情報がより早く手に入れられるようになりました。
例えば、
オンラインで生産者とリアルタイムで質疑応答が出来ること。
分からない事があれば直接生産者にメッセージを送れること。
船積み・出港から入港までの豆の行方がリアルタイムで分かること。
こうした出来なかったことが出来るようになり、分からないことが分かるようになりました。
そのお陰で、コーヒーに関係するものの本質が見えてくるようになりました。
サスティナビリティとは、
トレーサビリティとは、
サプライチェーンとは、
フェアトレードとは、
カーボンニュートラルとは、
僕たちの生豆のセレクトの基準が「目の前にあるカップの品質が良いか」だけだったのが、TYPICAさんのサービスを通じて「生産者の思想」「僕たちがまず良い買い手になることが出来ているか」という観点からセレクトをするようになりました。
同時にロースターとしてあるべき姿を見つめ直し、現在の時代にフィットすること、より良いサービスを届けていく、という良い緊張感を抱かせてくれます。
OBROS COFFEEとしての在り方にも変化がありました。
開店当初は”良質なコーヒーを提供したい”という、主語が僕たちになっていたけれど、次第にOBROSに来たお客様にどうなっていただきたいか、OBROSがある街がどうなって欲しいかを考えるようになりました。想いがカタチになるのは、まだまだ先ですが、僕たちがよりゲストの生活の一部になれればと思っています。
そのためにも、僕たちはさらにコーヒーの理解を深め、ひとりでも多くの方にコーヒーの素晴らしさを提案していくこと。結果的にビジネスとしての基盤も強くなることを目指します。
OBROSは7年目ですが、まだまだこれから。本当にまだまだです。
荻野 夢紘 稚季