3.20① GuatemalaCity→DryMill

昨日、日中にたくさん寝たおかげで朝は5時にスッキリと目覚めた。朝食を食べてみんなでバスに乗り込み、今日からいよいよコーヒー生産の現場に向かう。
そういえば昼間のGuatemalaCityを見れていなかったので、ホテルの部屋から眺めてみた。高層ビルが立ち並び、ここから見ると先進国と変わりない(ビルの中身がどうなっているかわからないけど)。
ホテルの前までPrimavera代表のNadineと父親のChrisが迎えに来てくれた。彼らが今回のグアテマラ滞在のアテンドをしてくれる。今日は一日Chrisが一緒に行動してくれるそうだ。
バスに乗り込むと早速Primaveraが運営するロースターLA CENTRAL COFFEE ROASTERのウェルカムコーヒー。huehuetenangoのWashed。グアテマラに着いてから飲んだどのコーヒーよりも美味しかった。
まずはパーチメントコーヒーから輸出用のグリーンビーンに最終加工するDryMillへ向かう。道中のバスの中でChrisがグアテマラのコーヒー事情について話してくれた。
50万人の小規模生産者がいるグアテマラには、33の火山がありうち3つは活火山。ミネラルに富んだ火山性土壌がコーヒー生産に適しているという。
特に印象的だったのは、「コーヒーはグアテマラの人にとって誇りとも言える大切なもので、私たちの血にはコーヒーが混ざっている」という言葉。このあと一日彼と行動を共にする中で、心からそう思っているのだということを理解できた。

郊外に向かう道は思いのほか快適で、道路状況が特別酷いということはなかった。住宅や商店がなくなり山道に入ると、日本の田舎と何も変わらないと思ったほど。ただGuatemalaCityに向かう反対車線の渋滞が深刻で、3レーンの広い道路にカラフルなバスや4WD車が長い列を作っていた。出勤のための渋滞だと言っていたが、Cityに着くのは昼頃になるのでは、と思ったくらい。
約1時間ほどしてDryMillに到着。選別とレスティングを行う巨大な倉庫があり、その奥にはパティオがあってナチュラルとハニープロセスの乾燥が行われていた。写真や動画では散々見た景色だったが、やはり実物を見たときには心が躍って、思わず声を上げてしまった。
このDryMillでの主な作業は、豆の選別と水分値を安定させるためのレスティング(保管して寝かせること)。
選別の工程は実際に機械を動かして見せてくれた。遺物除去→サイズ分け→比重選別→カラー選別と、巨大な機械が轟音と共に駆動して生豆を選り分けていく。このときに見せてくれたのはコモディティグレードの豆だったが、選別を経た生豆の面はとても綺麗で、見るからに美味しそうだった。

取り除かれた石などの異物。

サイズ分けの段階で小粒のピーベリーは選り分けられて、安価で国内向けに販売してしまうらしい。FINETIME近藤さんやShimaji Coffeeの島さんと、これ飲んでみたいよね、という話をしていた。
レスティングの倉庫では一定の水分値に安定するまで、パーチメントコーヒー・ナチュラルドライが完了したチェリーを麻袋に入れて保管している。上述の選別工程に回されるのを待っている状態だ。
袋には生産者番号と生産袋数が記載されていて、トレーサビリティがしっかりと管理されていた。この生産者番号を参照すれば、ロットごとのカップクオリティやいくらの報酬が支払われたかなどの情報が確認できるそうだ。
例えばこの"R248"は生産者コード、"7SACOS"というのは7袋、という意味。7袋しかない超マイクロロットだということがわかる。
倉庫を出るとたまたまナチュラルプロセス専門で行なっている小規模生産者Fredyさんが乾燥が終わったチェリーを運び込んでいた。
彼はこのDryMillから北、標高1,800mの農園でゲイシャやパカマラ、カトゥーラを栽培しているそうだ。以前はチェリーの状態で売っていたそうだが、4年前から自分でナチュラルの精製を開始。それによってユニークで希少性のあるコーヒーが作れるようになり、より対価を受け取れるようになった。
それは、僕ら消費国の人間がハイクオリティなコーヒーをちゃんと評価して、価値を感じて消費してくれるからだ、おかげで15人いるスタッフにもちゃんと報酬を支払える、ありがとう、と言ってくれた。
何故ナチュラル専門でやっているのか聞いたところ、「1番環境に優しいプロセスだから」と言っていたのが印象的だった。
行きのバスでChrisが言っていた自然エネルギーの話にも繋がることだが、こうした小規模なコーヒー生産者レベルでも環境に対する意識が高いことに驚いた。農業であるコーヒー生産にとって環境問題はシビアな問題で、本当に真摯に取り組んでいるんだなと実感した。
DryMillは丘の上のようなところにあって、標高は1,000mくらい、雲がとても近く感じた。日差しは強かったが、吹き抜ける風が心地よくて、乾燥中のナチュラルプロセスのチェリーから芳醇な果実の香りが漂っていた。施設も清潔で整然とした印象があり、Primaveraのクリーンなコーヒーが生まれるのにも、とても納得できた。
ここからまたバスに乗り込んで、今度は主にコマーシャルコーヒーの生産を行う農園とWetMillに向かう。