コーヒー

毎朝の両親の日課だった朝食前のコーヒー。

朝起きてコーヒーの香りがするのが当たり前。

飲んでも決して美味しいとは思わなかったコーヒー。中学生になれば、テスト前に勉強している時、眠気覚まし!と飲んでみたり。

学生時代はバイト前の空いた時間、何も予定のない持て余した時間、文庫本片手にチェーン店で何時間も過ごす。

いつも、ただそこにコーヒーがあった。

就職した飲食店では夜の勤務。面白かったし充実感もあったけど、自分にはそれが合わなかった。

たまに行く、癖の強い店長がいる近所の喫茶店。

味もなんもわからないけど、いつも違うコーヒーをネルドリップで淹れてくれた。

同じ名前のコーヒー店での求人を見つけ、すぐに電話をかけたのを覚えている。

研修期間中、20種類近くあるコーヒーを毎日毎日飲まされて、同じ味に感じる液体で常にお腹はタプタプだった。

「レモンクリームみたい!!」

ある日飲んだコーヒーに衝撃が走る。

今まで飲んできたどのコーヒーとも明らかに違う。

この時飲んだコーヒーが

エチオピア ウォッシュド。

今でもエチオピア ウォッシュドが僕の1番好きなコーヒー。今この仕事を選んでいるのはこのコーヒーがあったから。

そんなエチオピアを訪ねることが出来る機会。

空港に降り立った時、農園に着いた時。

僕はその時何を感じて何を思うんだろう。

何かが始まる気がする。