子ども達の笑顔に会いたい。
2022年4月1日、TYPICA Labにノミネートしていただいたと知らせを受けた。嘘のような本当の話だった。四ヶ所の中から、訪問する生産国の希望を伝えられるという。
どうしてもエチオピアに行きたかった。
どうしてもエレアナさんにお会いしたかった。
きっかけとなったのは1枚の写真。2015年に撮影されたもの。
そこには、一人の日本人男性と、たくさんのエチオピアの子ども達が写っている。
白い歯と笑顔がとにかく眩しい写真。
日本人男性は、私が独立前に勤めていた生豆問屋、株式会社マツモトコーヒーの松本真悟氏(現社長)。松本氏が初めてエチオピアを訪問した際に撮った写真を色々と見せてくださったのだが、私はとにかくこの写真に目を奪われた。なんと眩しい笑顔なのだろうか。
モプラコ社の代表、エレアナさんは、エチオピアの輸出業者の社長として日本でもとても有名で、エチオピアのスペシャルティコーヒーの素晴らしさを日本に伝えた立役者と言っても過言ではない方。
私がエレアナさんを特に素晴らしいと感じているのは、スペシャルティコーヒーに取り組む一方で、イルガチェフェをはじめとするいくつかの地域に、コーヒー生産者の子ども達が通う学校を建設されているところだ。
写真に写っていたのは、そこに通う子ども達だった。
私がスペシャルティコーヒーに強く惹かれたのは、味はもちろんのこと、コーヒービジネスを通して様々な社会問題の解決につながる可能性があるという点。
私自身、幼少の頃に経済面を含む家庭環境で苦い体験をしたこともあり、特に生産国の貧困や教育、児童就労といった問題には常に関心があった。
自分がコーヒービジネスに携わることで、少しでも改善の一助になれば。。
そんな中、松本氏に見せていただいた写真に写っていたのは、確かな希望だった。いつか必ずここを訪れたい。年々その想いは膨らむばかりだった。
2016年、(株)マツモトコーヒーから独立し自家焙煎店を開業した際、一番最初に取り扱ったシングルオリジンは、もちろんエチオピア。
豆の名前は「エチオピア エレアナ」
今でもエチオピアはモプラコ社のみを取り扱っている。
※「エレアナ」の商品名はご本人に許可をいただいています
いつか必ずエチオピアを、モプラコ社を訪問したいと願い続けていた私に、
こんな素晴らしいプロジェクトとしてチャンスが訪れた。
あの写真のような、エチオピアの子ども達と一緒に笑顔になれる取り組みがしたい。
日に日に増していく胸の高鳴りが心地よい。
期待と決意を抱え、訪問するその日を今か今かと待ちわびている。