手に入ったエチオピアへの切符
本当ならば、僕は2022年秋にタンザニアとケニアを訪れている予定だった。
パンパンに荷物を詰めたバックパックを背負い、意気揚々と向かった成田空港での事件。
渡航のために受けたPCR検査で陽性。まさか。
こうやって出発の4時間前、僕のルーツ・ケニアを訪問する計画はあっけなく幕を閉じた。
ホストであるTYPICAの厚意で次軍エチオピアチームに合流させてもらうことになり、僕のルーツをめぐる旅から、世界にコーヒーが生まれたルーツをめぐる旅へと、目的と意義がより大きなものに変わった。
KARIOMONS COFFEEのカリオモンとはエチオピアの狩猟民族マジャンギルに伝わる言葉だそうだ。
猟に出かけた帰り、自生しているコーヒーの木の枝を折って持ち帰り、葉を火で炙ったり日陰で乾燥させてお茶をつくる。それを親しい仲間で飲み合う行為や時間そのものをさす言葉がカリオモン。
その言語化できない心地よさに惹かれ、屋号にかかげてお店を立ち上げた。エチオピアはコーヒーのルーツでもありKARIOMONS COFFEEのルーツでもある。
ケニアに並ぶ、僕にとっての聖地・エチオピア。
今回も素晴らしいメンバーと旅を共にする。確実に僕に変化をもたらす旅になるだろう。
連れて行ってくれるTYPICA、受け入れてくれる現地エクスポーター、そして応援してくれるみなさんに大きな感謝を抱き、2度めの出発を迎える。